PRP療法とは?
PRP(多⾎⼩板⾎漿)療法とは、患者さんの⾎液を利⽤した再⽣医療です。
⾎液中の生きた体細胞に主に含まれる良いタンパク質の作⽤により、病的な炎症の抑⽌や組織の再⽣促進が期待されています。
近年、整形外科領域ではスポーツ外傷や障害、腰痛、変形性膝関節症の新しい治療として利⽤されています。
ポイント!
血液中の生きた体細胞を利用し、良いタンパク質を必要な場所に届ける治療
PRPに含まれる成分の血小板や一部の白血球の単球などは、その内部に組織治癒や炎症抑制に必要なタンパク質を豊富に含んでいる体細胞ということが知られています。
PRPを損傷箇所に注射すると、それらの体細胞から自然に組織治癒、炎症抑制に必要なタンパク質が放出されます。
血液中にもともと含まれるタンパク質とそれらの放出されたタンパク質が一緒に働き、異常な炎症による痛みの緩和や、組織修復が期待されています。
ケガの治りを早くし、炎症や痛みを改善
スポーツ選⼿にとって、ケガはパフォーマンス低下や治療のための競技活動制限につながる⼀⽅で、多くの選⼿は早期の復帰を望みます。
そのため、からだへの負担が少なく、ケガを早く治す治療としてPRP療法は注⽬されています。
また、変形性関節症、腰痛、アキレス腱炎、テニス肘などの慢性疾患による炎症や痛みの治療としても注目されています。
PRP療法の治療対象疾患
病気の種類 | 疾患名 |
---|---|
関節の病気 | 変形性膝関節症・変形性足関節症・変形性指関節症・変形性股関節症 など |
スポーツ活動によるケガや病気 | テニス肘(上腕骨外側上顆炎)・ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)・野球肘(肘内側側副靭帯損傷)・アキレス腱炎・ジャンパー膝(膝蓋腱炎) 足底腱膜炎・手根管症候群・捻挫・靭帯損傷・半月板損傷・肉離れ など |
腰の病気 | 腰痛(椎間板変性、多裂筋変性、仙腸関節炎、椎間関節症)など |
肩の病気 | 五十肩・四十肩(腱板炎、滑液包炎)など |
炎症抑制と軟⾻保護作⽤を⾼めたACP PRP療法
⼀般的に、PRPには⾎⼩板などの良い成分が多く含まれる⼀⽅で、炎症抑制の邪魔になる⾚⾎球と好中球などの成分も⼀部濃縮されてしまいます。
ACPは治療の邪魔になるそれらの⾎液成分を約99%取り除き、純度を高めたPRPの⼀種です。
そのため、Pure-PRPとも呼ばれ、変形性膝関節症の治療に広く利用されています。
ACP PRP療法は欧州では既に治療法として承認され、客観性の⾼い臨床試験により、安全性‧有効性の確認が進んでいます。
国内ではまだ新しい治療のため、⾃費診療扱いですが、再⽣医療法で承認された施設で治療回数や期間の制限なく、治療を受けることができます。
ACP PRP療法の作用
ACP PRP療法は、変形性膝関節症で活性化している病的な炎症を抑制し、痛みの緩和、軟⾻破壊の抑⽌が期待されています。
変形性膝関節症の炎症状態とACP PRP療法の作⽤イメージ
変形性膝関節症で起きている病的な炎症
炎症成分によって細胞が刺激を受けると、細胞は軟骨破壊成分を排出し、軟骨を破壊します。
破壊された軟骨成分は同時に細胞を刺激し、さらに炎症成分を排出させ、ゆくゆくは細胞死が導かれ、環境がどんどん悪化していきます。
ACP PRP療法を注入した関節内
ACP PRPに含まれる良いタンパク質(成長因子等)により、細胞の活動が正常化されると、炎症は治まり、関節の痛みの原因となる物質も作られにくくなります。
また、正常化した細胞は軟骨の保護に働きます。
ACP PRP療法の特長
特長① 不純物が少ないのでPRP注射による炎症反応が少ない
不純物が少ないため、PRP成分の作用による炎症やそれに伴う痛みが少なく、また、何度でも治療を受けることができます。
特長② 短時間で負担が少なく、採血した日に治療が受けられる
少量の採⾎で治療を受けることができ、採⾎からわずか15分程度で治療を受けることができます。
ACP PRP療法の治療の流れ
[ 監修いただいた医師 ]
筑波大学医学医療系整形外科(スポーツ医学)講師
金森 章浩 先生
PRPの材料の血液について、また、色々な種類のPRPがある理由についてもっと調べる。